
ワキガ(腋臭症)・多汗症に関してのよくある質問
ワキガ(腋臭症)に関するよくある質問と回答
- Q
ワキガの原因は?
- A
-
私たちの体から出る汗には、2つのタイプがあります。それぞれ「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という場所から分泌されています。
エクリン汗腺は、全身の肌に広く分布していて、ほとんど水と塩分だけを出します。ここから出る汗は基本的に無臭で、体温調節の役割を担っています。
一方で、アポクリン汗腺は、ワキ、乳首の周り、デリケートゾーン、耳の中、おへそなど、限られた部位にしかありません。ここから出る汗には、タンパク質や糖分、脂質、アンモニア、鉄分など、さまざまな成分が含まれています。
ワキガの臭いは、このアポクリン汗腺からの汗に含まれる成分が、皮膚にいる常在菌によって分解されることで発生します。つまり、汗そのものというより、汗と菌が混ざることで臭いが生まれます。
- Q
ワキガかどうか自分で確認できますか?
- A
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ワキガの臭いは自分では気づきにくいですが、以下のような傾向がある場合は医師に相談することをおすすめします。
- ・ストレスを感じることが多い。
- ・家族または親戚にワキガの人がいる。
- ・耳垢が湿っている(湿性耳垢、ネバネバ、キャラメル状)。
- ・衣類の脇の部分が黄ばむ。
- ・他人から「臭う」と言われた経験がある。
- Q
ワキガは治療できますか?
- A
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ワキガの治療法は何種類かあります。医師と相談をして、あなたに適した治療法をみつけましょう。
治療法 内容 備考 【切らない治療】ボツリヌストキシン注射
※注射による治療ワキの下に注射することで汗腺の活動を抑制し、汗の分泌を一時的に抑える。 効果は約3〜6か月程度。 【切らない治療】ミラドライ(レーザー治療) マイクロ波を皮膚の上から照射することで、汗腺を破壊します。皮膚を切らずに治療が可能です。 破壊した汗腺が再生することがほぼないため、長期的な効果が期待できる。 【手術】シェービング法 小さな傷から、専用のシェービング機や吸引機を使って、ニオイの原因となるアポクリン汗腺を削り取り、吸引します。 「臭いは気になるけれど、できるだけ傷を小さく抑えたい」という方におすすめ。 【手術】根こそぎベイザーシェービング法 1cmほどの傷からベイザー吸引管を挿入し、アポクリン汗腺にベイザー波を照射。ニオイの原因となる汗腺を焼き切って溶かし、そのまま吸引します。 汗腺ごとしっかり取り除くことで、半永久的な効果が期待できる。 【手術】摘出法 ドクターが直視しながら、ひとつひとつ丁寧に臭いの元:エクリン腺、アポクリン腺を取り除いていく。 再発の心配が少なく、半永久的効果を期待できる。 また、医師による治療以外にも、日常生活で臭いを抑えることは可能です。
- ・脇を清潔な状態に保つ。
- ・市販のデオドラント・制汗剤でケアをする。
- ・衣類の選び方・洗濯方法を工夫する。
- ・食生活を見直す。
ご自身でケアできることからはじめてみましょう。
- Q
ワキガは人にうつることはありますか?
- A
-
いいえ、ワキガは感染症ではないので人にうつることはありません。
- Q
ワキガと多汗症の違いは何ですか?
- A
-
「ワキガ」と「多汗症」は、関与する汗腺の種類と症状のメカニズムが異なります。
「ワキガ」は、主にアポクリン腺から分泌される汗が原因です。この汗には脂質やタンパク質に加え、尿素・鉄分・アンモニア・糖分などの成分が含まれており、これらが皮膚表面の常在菌によって分解されることで、ワキガ特有の体臭が生じます。
一方、「多汗症」は、エクリン腺からの汗が過剰に分泌されることが主な原因です。この汗は本来ほとんど無臭ですが、大量にかくことで皮膚が湿った状態になり、雑菌が繁殖しやすくなるため、結果として臭いを伴う場合があります。
多汗症に関するよくある質問と回答
- Q
多汗症とはどのような症状ですか?
- A
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人間は常に体温を一定に保つ「恒温動物」です。暑さや運動、食事によって体温が上がると、汗をかいて体を冷やします。これは、エクリン汗腺から分泌された汗が蒸発するときに熱を奪うことで、体温を下げる働きです。
しかし中には、体温調節に必要以上の汗をかいてしまい、日常生活に支障をきたす方もいます。これが「多汗症」といわれる症状で、エクリン汗腺の働きが過剰になることが原因です。
- Q
緊張すると汗が止まらないのですが、これは多汗症ですか?
- A
-
精神的なストレスや緊張によって汗が大量に出る場合は「精神性発汗」の可能性があります。これは多汗症の一種で、特に手のひらや顔に出ることが多いです。
- Q
多汗症のセルフチェック方法を教えてください。
- A
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「多汗症かも知れない」と不安を感じる方は、下記の項目を確認しましょう。複数あてはまる場合は、医療機関に相談することをおすすめします。
- ・汗の量が多く、日常生活に支障が生じている。
- ・1週間に1回以上、大量の汗をかく。
- ・緊張すると、大量に汗が出る。
- ・両ワキで同じ量の汗がでる。
- ・睡眠中は、汗が出ない。
- ・季節や温度に関係なく、汗がでている。
- ・家族に多汗症の方がいる。
- Q
多汗症の治療法はありますか?
- A
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はい。上記のワキガの治療法に加え、以下の治療方法があります。
治療法 内容 備考 外用薬 塗薬で発汗を抑える。 市販のデオドラント剤より効果を期待できる。 【切らない治療】イオントフォレーシス 発汗の多い手のひらや足の裏を、水を貯めた容器に浸し、10〜20mAの電流を約30分間流す治療。 8〜12回ほど行うことで、多汗症の改善に効果が期待できる。 【手術】交感神経遮断術 交感神経の働きによる多汗を抑えるために、胸部の交感神経を切除、もしくは焼くなどする治療法。 腋の下を数ミリ切り、そこからカメラを入れて手術する。
- Q
多汗症の治療は、保険適用になりますか?
- A
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「多汗症」は厚生労働省に認められた病気で、医師から「多汗症の保険適応基準」を満たしていると診断された場合は、保険で治療を受けることができます。ただし、基準を満たさない場合や症状が軽い場合は、保険が適用されないこともあります。また、自由診療のみで受けることができる治療もあります。医師と相談をすることをおすすめします。