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【歯の美白 6】ウォーキングブリーチ(失活歯のホワイトニング)
神経が死んだ歯はどうして黒ずんでしまうの?通常のホワイトニングでは白くできないって本当?
ウォーキングブリーチ(失活歯のホワイトニング)について解説します。
2. なぜ失活歯は変色しやすいの?
3. ウォーキングブリーチのメリット
4. ウォーキングブリーチはこんな方におすすめ
5. ウォーキングブリーチが適さない方
6. ウォーキングブリーチの注意点・リスク・副作用
7. ウォーキングブリーチの方法
8. ウォーキングブリーチの施術時間・ダウンタイム・費用目安
9. ウォーキングブリーチのよくある質問 Q&A
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神経がない状態で変色した歯を白くするためのホワイトニング法です。
外傷や重度の虫歯などによって神経が死んでしまった歯(失活歯)や、神経をとる処置をした歯(無髄歯)は内側から茶色や黒色に変色しやすく、失活変色歯、無髄変色歯とよばれます。これを白くするためのホワイトニング法がウォーキングブリーチです。
失活歯は通常のホワイトニングでは白くすることができません。
ウォーキングブリーチでは歯の内部に漂白効果のある薬剤(高濃度の過酸化水素と過硼酸ナトリウムのペースト)を入れて封入し、変色している象牙質に働きかけ、歯の内側から白くしていきます。
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様々な要因がありますが、主に象牙質の変色が原因とされています。
象牙質が黒っぽく変色するのは、血液の成分などが象牙細管内に入って着色する可能性があります。
また歯の神経が働かなくなると、血液循環もなくなり歯内に栄養が届かなくなります。これによって象牙質に含まれるコラーゲンが濃い色に変色していく可能性もあります。
暗い色に変色した象牙質が、表層の透明なエナメル質から透けて表出することで、歯の色が濃くなったように見えるのです。
変色の原因はほかに、根管治療に用いる抗菌薬(抗生物質)の副作用や、補綴治療に使われる金属などの場合もあります。
変色した歯の表面を削ることなく白くできるという利点があります。
失活変色歯を白くする治療は、ほかには周囲を削ってセラミックのかぶせ物にする、歯のマニキュアを塗る、という方法もありますが、ウォーキングブリーチは、マニキュアより自然な見た目で、セラミック治療よりも歯を損なわず、治療費が抑えられるというメリットがあります。
また歯の根の変色が原因で、根元の歯茎まで黒ずんでいる場合も、ウォーキングブリーチによって改善される可能性があります。
・神経のない歯の変色が気になる方
・変色の程度が軽く、ご自身の歯が十分に残っている方
・根管治療が完了していて、医師から問題ないとされた方
・1本~数本のみが変色している方
・根管治療中の方、根管に違和感のある方
(先に根管治療を終わらせておく必要があります)
・歯を大きく削っていて、残された部分(残存歯質)が少ない方
(ブリーチによって破損のリスクがあるため)
・著しく変色している方
(ウォーキングブリーチでは改善しない可能性が高いため)
・歯の表面に欠損が多い方
(薬剤が漏れてしまう可能性があるため)
・失活変色歯の本数が多く、たくさんの歯を一気に白くしたい方
(1本ずつの処置であることから治療が高額になるため)
・完全に周囲の歯と同じ白さにしたい方
(白さの度合いは厳密にコントロールできないため、希望通りの色をかなえるにはセラミック治療の方が有効)
・残存歯質が少ない場合、内側からの漂白や補綴作業の繰り返しによって、歯が欠けたり破損したりするリスクがあります
・重度の変色歯の場合、治療をしても希望の白さにならない場合があります
・一度白くなっても経年変化で再び変色していくことがあります
・治療中は1~2週間ごとに薬剤交換をする必要があり、通院間隔が大幅にあくと密封された薬剤からガス等が発生して痛みが生じる可能性があります
・歯の根や神経に関わる部分を処置するため、治療に際して痛みが出る場合があります
・歯の裏に穴を開ける必要があるため、もとの状態によっては歯が大きく削られる場合があります
【1】根管内の薬剤を取り除く
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過去に神経をとる処置(抜髄処置、根管治療)を受けた場合、歯髄を除去したスペースに消毒の薬剤をつめ、詰め物などでふたをしてあります。このふたを開けて、中の薬剤を取り除いて、ホワイトニング剤(漂白剤)を入れます。
神経が死んでいる歯の場合、歯の裏から穴を開けてそこにホワイトニング剤(漂白剤)を入れます。
【2】ホワイトニング剤を詰める
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ホワイトニング剤(漂白剤)を入れて、仮の詰め物でふたをして白くしていきます。
【3】薬剤の交換
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いずれの場合も定期的(およそ1~2週間ごと)に内部の漂白剤を交換します。何度かの処置でだんだんと色調を白くしていきます。目的の白さになったら、補綴物で裏側の穴を埋めて治療が完了します。
- 通院回数
- 3~6回前後
1)初診 カウンセリング・説明
2)ブリーチ処置(1回目)根管の薬剤を取り除き、ホワイトニング剤を封入
3)ブリーチ処置(2回目)ホワイトニング剤の交換
4)ブリーチ処置(3回目)ホワイトニング剤の交換
5)ブリーチ処置(4回目)ホワイトニング剤の交換
6)穴埋め処置・完了
- 所要期間
- 間隔を開けて1.5~3ヵ月
- ダウンタイム
- 無し
- 料金
- 1.5万~4万円
平均相場 2~3万円(上下)
※自費診療・1本あたり
※薬剤交換の回数などによって異なります
Q. 神経の死んだ前歯を、オフィスホワイトニングで白くすることはできませんか?
A. 神経のない歯の変色は、歯の内部に原因があるため、表面からアプローチする一般的なホワイトニングでは効果が得られません。
通常の歯のホワイトニングは、神経のある歯(有髄歯)を外側から漂白して表面の着色を分解しますが、神経のない歯(失活歯)は変色の原因が歯の内部にあるため、アプローチの方法が異なります。
神経のある歯とない歯が混在していて、白くしたい場合は、医師に相談のうえ、順番に処置を進めます。
Q. 歯に穴を開けずに、神経のない歯を白くする方法はありませんか?
A. ウォーキングブリーチ以外で、失活歯を白くするには、ラミネートベニアという方法もあります。
歯の表面を1~2mmほど削って、スカルプチャーという薄さ2ミリほどの白い付歯を取り付けることで、歯を白くつるつるに見せる施術です。
セラミックや樹脂(レジン)など素材によって耐久性や価格が異なります。歯の色だけでなく、形や隙間などを整えることもできます。
最近は表面を削らず、装着後の違和感も少ない極薄強化セラミックによるラミネート(ルミネアーズ)による、ラミネートベニア処置を受ける人も増えています。
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